査定価格について
まず、査定価格について考えましょう。
不動産会社を決めるファーストステップとしては、複数社に査定依頼をし、査定価格を比較することです。査定価格とは、業者によって定義は異なるかもしれませんが、一般的には、『通常3ヶ月以内で売却できると考えられる価格』なります。あくまでも、3ヶ月以内で売却できるであろう金額で、実際の売却金額(成約価格)は売り手と買い手の合意があってはじめて決まります。査定価格=売却価格でないことに注意が必要です。また、査定価格=売り出し価格でもありません。売り出し価格とは、売主が不動産会社と相談したうえで決定する、物件を市場に売り出す価格。つまり査定価格に、売主の希望が加味された価格です。自分の意向を整理し、不動産会社に希望をしっかりと伝えましょう。
物件価格と売却までの期間の関係性
誰だって、「高く売りたい」と思うのは当然のことです。しかし、相場より高ければ、買い手が見つかるまで時間がかかってしまい、最終的には、値下げをせざるを得なくなります。価格と売却までの期間は以下のような関係性です。
■価格と売却までの期間
つまり、価格だけでなく売却時期に対する希望も、売り出し価格を決める際には重要となります。
売却までの期間について
売り出しから売却までの期間はケースバイケースですが、一般的には3か月~7か月といわれています。マンションの場合は、もう少し短くなります。
これをひとつの目安として、売り出し価格が妥当なのに(高すぎるわけではないのに)かなりの時間が経過しても売却とならない場合は、仲介会社を変更することを検討してもいいかもしれません。ちなみに、専任媒介、専属専任媒介の契約期間は3か月以内です。仲介会社を変更したい場合は、契約期間満了時に更新をしない旨を伝えればいいわけですが、万が一更新時期を待たずに仲介契約を解除する場合は、それまでにかかった費用を請求される可能性があるので注意が必要です。
査定金額だけで仲介業者を決めるのは危険
以上、価格と売却までの期間についてお伝えしましたが、何といっても重要なのは、不動産会社選びです。まずは、数社に査定依頼をしましょう。その中で本当に信頼できる業者を選ぶために、査定額の根拠を聞いてみましょう。根拠もなく「すぐに売れます」など言う業者には注意が必要です。
査定価格で不動産会社を判断するのではなく、自分の希望に出来るだけ近い価格やスピード感で買い手を見つけることのできる、販売力に優れた業者に依頼することが満足度の高い不動産売却において重要です。
仲介会社を選ぶポイント
では、その“販売力の高い不動産会社”を選ぶにはどうしたらいいのでしょうか。以下のようなことを意識するようにしましょう。
■免許の更新回数と信用度は関係がない?
不動産会社選びのポイントとして、「宅地建物取引業の免許番号の更新回数を確認する」と言われることがあります。これは、「更新回数が多い=業歴が長い=信頼できる」ということのようですが、一概にそうと言えるでしょうか?むしろ免許更新番号の比較的浅い業者の方が良い場合もあります。開業したばかりの店舗は活気がありますし、時流を読んでいることも考えられます。更新回数に関しては、あまり深く考えなくていいでしょう。
■買主の立場になって不動産会社を見てみる
買いたいと思う人がいなければ、契約には至りません。さらに、物件に興味を持たれることすらなければ、最悪、売り出し価格を値下げしなければなりません。売れない→値下げの負のスパイラルです。ですので、集客力がある不動産会社かどうかを見極める必要があります。また、売主としては、出来るだけ値下げをしたくないので、価格以外で買主にメリットがある不動産会社であるかどうかという点は非常に重要です。
満足度の高い売却を実現するためには、安心して任せることのできる不動産会社、売主の立場によりそってくれる担当者との連携が重要です。
この記事を書いた人
吉崎 誠二
不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了
立教大学大学院 博士前期課程修了
株式会社船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate
ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て 現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
公式サイト http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所 http://www.hr-i.jp/
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