まずは相場を知ろう
まずは自宅不動産の相場を正しく把握する必要があります。おおよその相場を知っておけば、不動産会社任せで売却価格が低く設定されてしまうことを防ぐことが出来ます。
「どれくらいの金額で売れそうか?」を調べるには、最近では一括査定のサイトが増えてきており、そこに会員登録して、各項目(所在地、面積等)を入力すれば、その場で大まかな相場価格が表示されます。こうしたサイトを利用するといいでしょう。
また、公的なシステムを利用して売却価格の相場を知る方法として、国土交通省の「土地総合情報システム」があります。
「土地総合情報システム」とは、不動産の取引価格及び地価公示・都道府県地価調査に関する情報を検索・閲覧できる国土交通省のWEBサイトです。その中でも、「取引価格情報」は、不動産の取引当事者を対象にアンケート調査を実施し、その結果得られた回答などをまとめたもので、“実際の取引総額”を、面積、土地の形状、前面道路、都市計画制限、取引時期等の情報とともに把握することが出来ます。
「不動産取引価格情報検索」の見方は以下の通りです。
1)土地総合情報システム(http://www.land.mlit.go.jp/webland/)のトップページを開く
「不動産取引価格情報検索」を選びます。
2)条件を入力
① 「画面上で検索」するか「ダウンロード」するかを選択
平成20年12月以前のデータはダウンロードのみで見ることが出来ます。
② 不動産の種類を選択
戸建の場合は、「土地と建物」を選択します。
③ 地域を選択
④ 選択した条件でデータを検索
「平成27年第3四半期~平成29年第2四半期の兵庫県伊丹市のマンション」で検索した結果が以下のように出ました。
同等の条件の物件が、実際にどれくらいの金額で売却されたのかを知ることが出来ます。
それぞれのデータには詳細情報があり(一番左)、「改装済みを購入」「未改装を購入」などといった情報も入手することが出来ます。
また、上部中央にある「取引件数の推移」をクリックすると、四半期ごとの取引件数の推移がグラフで表示されます。流動性の高さや取引が活発な時期などが一目でわかります。
このように様々な情報を得ることが出来ます。このサイトは購入時も役立つので、是非活用してみてください。
(番外編)築年数と物件価格の相関は?
「不動産取引価格情報」から「兵庫県 伊丹市 中古マンション」の条件で平成17年から現在に至るまでの情報をダウンロードしたデータを分析してみました。
まず、上記条件で抽出された965のデータを、横軸に築年数、縦軸に㎡単価で分布化した結果は、以下の表の通りとなります。
(㎡/円)
(年)
上記分布図から、「築年数が新しい方が、物件価格が高い傾向にありそうだ」ということが言えそうですね。そして、これらのデータをもとに築年数と物件価格との相関係数を計算したところ、約0.58という数値が出ました。
一般に相関係数については以下のように言われています。
0.0~0.2 のとき |
ほとんど相関関係がない |
0.2~0.4 のとき |
やや相関関係がある |
0.4~0.7 のとき |
かなり相関関係がある |
0.7~1.0 のとき |
強い相関関係がある |
今回は、0.58と「かなり相関関係がある」ということが分かりました。築年数と物件価格の関連性はある程度分かっているものの、数値にしてみると歴然としていますね。
次回は不動産会社を選ぶ際に気を付けることを中心にお伝えします。
この記事を書いた人
吉崎 誠二
不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了
立教大学大学院 博士前期課程修了
株式会社船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate
ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て 現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
公式サイト http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所 http://www.hr-i.jp/
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